股関節痛と太ももの痛み(大腿部痛)

変形性股関節症では、股関節だけでなく、太ももにも痛みが出ることがあります。これは、股関節の軟骨がすり減ることで炎症が起こり、その痛みが太ももに広がるためです。特に、太もも(大腿部)の前側や外側の痛みを感じることが多いです。

また、股関節の動きが悪くなると、それを支える太ももや外側の筋肉に余計な負担がかかります。その結果、筋肉が硬くなったり、疲労がたまったりして痛みが出ることもあります。歩き方が変わったり、長時間歩いたりすると、より強く痛みを感じることがあるでしょう。

さらに、股関節の変形が進むと神経が圧迫され、太もものしびれや違和感を伴うこともあります。特に、椅子から立ち上がるときや、階段の上り下りの際に痛みが出やすいです。また、夜寝ているときに横向きになると、股関節や太ももに痛みを感じることもあります。

このような痛みを和らげるためには、まず股関節や太ももの筋肉を柔らかく保つことが大切です。ストレッチや軽い運動を取り入れることで、筋肉の緊張を和らげ、痛みを軽減できることがあります。また、股関節にかかる負担を減らすために、体重管理にも気をつけるとよいでしょう。

股関節の軟骨がすり減ることで炎症が起こり、その痛みが太ももに広がる仕組みについて

軟骨のすり減りと炎症の発生

正常な股関節では、関節の表面が軟骨で覆われており、クッションのような役割を果たしています。この軟骨が徐々にすり減ることによって軟骨の粉が関節内にたまり関節包に炎症を引き起こします。

炎症による痛みの発生

炎症が起こると、関節の内側にある滑膜(かつまく)が刺激されて腫れたり、関節液が過剰に分泌されたりします。これにより、関節内の圧力が高まり、痛みを感じる神経が刺激されます。股関節周囲には痛みを伝える神経(大腿神経・閉鎖神経・坐骨神経など)が豊富にありますが、特に大腿神経が刺激されると股関節の前面(太もも)や外側に痛みを引き起こします。

関連痛として太ももに痛みが広がる

股関節の痛みは、しばしば「関連痛」として周囲の部位に広がります。これは、脳が痛みの発生源を正確に区別できないために起こります。股関節の痛みを伝える神経と、太ももの痛みを伝える神経が脊髄で接近しているため、股関節で生じた痛みが太ももや膝にまで広がることがあります。

筋肉の緊張による痛み

股関節の動きが悪くなると、周囲の筋肉(大腿四頭筋、腸腰筋、中殿筋など)が補助的に働こうとします。この結果、これらの筋肉に過剰な負担がかかり、筋肉の緊張や炎症が生じ、痛みが太ももに広がります。特に、歩行や立ち上がりの際に太ももの前側や外側の痛みを強く感じることがあります。

<まとめ>

股関節の軟骨がすり減ることで関節内に炎症が起こり、その炎症によって痛みが発生します。この痛みが神経を通じて太ももに広がることや、周囲の筋肉の過剰な緊張によって痛みが増幅されることが、太ももが痛くなる主な仕組みです。 痛みを軽減するためには、股関節への負担を減らし、筋肉の緊張をほぐすストレッチやリハビリ、適切な体重管理などが重要になります。

具体的は対処法を知りたい方は当院へご相談ください。