変形性股関節症の進行速度を遅らせるには…

変形性股関節症を進行させる要因といえば、これまでは、骨の形状や構造の異常、遺伝要素、加齢や性別(女性)などが医学的に証明され、知られていました。

一方、重い荷物を持ったらいけないよ。とか、歩きすぎは良くない。体重を落としなさい。正しい姿勢を保つ… などは、一般的に良く耳にする話ですが、実は、どれも科学的根拠がないもので本当かウソか証明はされていませんでした。

ところが、2017年、京都大学大学院医学研究科のグループが興味深い以下2つの研究結果を発表して話題を呼んでおり、今後のリハビリテーションへの活用が期待されています。

1.歩き方と一日の歩数が影響する

患者さん一人一人の歩き方の違いに影響される一歩ごとの股関節への負荷と、日常生活や仕事による一日の活動量(歩数)とに着目し、それぞれを分析するとともに、それらを掛け合わせた“股関節累積負荷”という新しい指標を考案しました。仮に、一歩ごとに加わる負荷は小さくても、活動量が多すぎれば一日に股関節に加わる負荷の総量は大きくなるため、一日に股関節に加わる負荷の総量である股関節累積負荷の増大は股関節に悪影響を与える可能性があると考えました。本研究の結果、股関節累積負荷の増大は変形性股関節症の進行に関わる重要な要因であることが明らかとなりました。研究成果は日本時間 2017年2月20日、国際変形性関節症学会の学術誌 Osteoarthritis and Cartilage に掲載されました。

2.姿勢と背骨の柔軟性が影響する

研究の結果、股関節の関節可動域制限や筋力低下など股関節自体の問題よりも、立っている時の脊柱の傾きと脊柱の柔軟性低下が重要な要因であることが明らかとなりました。研究成果は 12月18日、国際変形性関節症学会の学術誌Osteoarthritis and Cartilage に掲載されました。

考察

当たり前といえば当たり前の結果ですね。今までこういった研究が行われていなかったことが不思議なくらいです。

今回の研究では、研究中の1年間は経過観察のみで、被験患者はこれといった治療はしていなかったようです。

西洋医学の場合、変形性股関節症に対して、人工股関節など手術に関しては相当なスピードで技術が進歩しているようですが、保存療法(リハビリテーション)に関してはかなり遅れている気がします。

あかつき療法院では、この結果が出るずっと前から、股関節疾患に対しての施術は、股関節のみではなく、姿勢を治すこと、背骨の柔軟性を高めることも同時に行ってきました。

医師が推奨しているような「ストレッチ」や「筋トレ(筋力訓練)」、「痛み止めの薬」では進行を食い止めることは難しく、進行したら手術… ということになってしまいます。

変形性股関節症の進行を遅らせるだけでなく、もっと積極的に股関節を回復させるためには、整体臨床上次のことが分かっています。

  • 軟骨に十分な栄養が行き渡るように股関節内の滑液(関節液)の循環を高める。
  • 関節のすき間を広げ、負荷・圧力を減らす。
  • 軟部組織(関節包、じん帯、筋・筋膜など)の緊張を緩める。拘縮を取る。

これらによって、痛みがなくなり、股関節が回復していく患者さんを数多く経験しております。

変形性股関節症の施術