変形性股関節症に貧乏ゆすり ジグリングを考える

貧乏ゆすりは、2010年7月16日「テレビ東京たけしのニッポンのミカタ」で紹介されたのをきっかけに、その後、2012年2月1日にはNHK「ためしてガッテン」でも紹介され、今や頻繁にマスコミに取り上げられるようになった股関節疾患では超有名な運動療法です。

貧乏ゆすりの考案者(故)井上明生氏によると、貧乏ゆすりが有効な条件とは、

<有効であるためには>

  • 臼蓋形成不全の程度が軽度
  • 歩き回るような仕事にはついていない
  • 「貧乏ゆすり」をする十分な時間がある

<どれぐらい動かせばよいか>

  • 「健康ゆすり器」を使えば1時間50分
  • 自分で動かすときには3~4時間
保存療法としてのジグリング|井上名誉院長の変形性股関節症のお話|柳川リハビリテーション病院より

とのことです。(注:引用中の臼蓋形成不全とは寛骨臼形成不全のことです。)

そもそも、貧乏ゆすり発見のきっかけは、

貧乏ゆすりのヒントになったのは、カナダの整形外科医・ソルター博士が考案した、CPMという医療機器でした。ソルター博士は、呼吸のために24時間や住むことなく動き続けている肋椎関節と胸肋関節には、生涯、関節症が起こらないことに着眼しました。そして、関節の可動域を広げるCPMを使って、ウサギの膝の関節軟骨が再生することを証明したのです。 つまり、たゆまずに小刻みに動かすことが、軟骨の再生には必要不可欠だということを証明したのです。 ~(中略)~ 同様の効果が得られる摩擦運動はないかと模索して、思いついたのが貧乏ゆすりです。

安心 2018,10月号より

とのことです。

ご興味のかる方はこちらもご覧ください。
→ Jiggling(貧乏ゆすり)を併用したキアリ骨盤骨切り術

末期変形性股関節症に貧乏ゆすりが有効

~ 略 ~
手術せずジグリングのみを行った症例では43股(30%)で関節裂隙の開大が見られた。有効群と無効群の患者背景の比較では年齢、術前Sharp角、術前AHIなどに差は見られなかったが、初診時にroof osteophyte(臼蓋の骨棘)を有する割合は有効群で有意に高かった。 ~略~

引用元:Medical Tribune 医療ニュース 末期変形性股関節症に貧乏ゆすりが有効 より

(故)井上明生氏による貴重な講演動画

第41回日本股関節学会における井上名誉院長の講演 「変形性股関節症に対するジグリング(貧乏ゆすり)の効用」

考察

効果を発揮するには、一日に23,000回 3~4時間行う必要があることを考えると相当な努力が必要となります。自動ジグリング器(健康ゆすり器)を使えば1時間50分で済むとのことですが、毎日行うとなるとやはりそれ相応の努力は必要です。

- ご注意 -
当院へ来る前に、実際に自動ジグリング器を使用されていたという患者さんのお話を聞くと、「やっても痛みがなかなか消えないので今は使っていない」、「ジグリング器で余計に痛みが強くなった」との声をよく聞きます。
続けて使用していると痛みや違和感はなくなってくるそうですが、とても根気が必要な作業となります。

また、音がうるさいので下の階に居る人への騒音も配慮が必要なようです。