股関節に水が溜まる
変形性股関節症になると、「股関節に水が溜まる」ということが起こることがあります。
これは、関節の中にある「関節液」が通常よりも多く作られてしまうためです。関節液は、本来、関節の動きをスムーズにするためや軟骨に酸素や栄養を与えるために必要なもので、健康な股関節にもある程度存在しています。
ところが、股関節に炎症が起こると過剰に分泌され、関節の中に溜まってしまうのです。この状態を「関節水腫(かんせつすいしゅ)」といいます。
では、なぜ炎症が起こるのでしょうか?
変形性股関節症では、関節の軟骨がすり減ることで、関節内に「軟骨粉(なんこつふん)」と呼ばれる不純物が溜まります。それにより滑膜に炎症が生じ、体はその炎症を抑えようとして余分な関節液を作り出します。その結果、股関節が腫れたり、張ったように感じたり、動かしにくくなったりすることがあります。
関節内に溜まる水は、炎症を抑え、組織を修復するために増えます。これは、免疫細胞が増加し、懸命に働いている状態です。しかし、安易に水を抜いてしまうと、これらの免疫細胞も同時に取り除かれてしまうことになります。
しかし、水が増えすぎて強い痛みを引き起こしたり、長期間にわたって水腫の状態が続いたりすると、股関節を包む関節包が緩んで(伸びて)しまい、股関節はグラグラして不安定になる可能性があります。その結果、関節の変形が進行するリスクもあるため、溜まりすぎた水を抜くことも一つの選択肢となります。
このような症状がある場合、どのように対処すればいいのでしょうか?
まず、できるだけ股関節に負担をかけないようにすることが大切です。長時間の歩行や無理な動きをすると、炎症が悪化する可能性があるため、適度に休息をとることも重要です。
また、股関節に負担をかけない施術や運動療法を取り入れることで、回復しやすくなります。自己流のケアは、炎症を広げたり、症状を長引かせたりする恐れがあるため、絶対に避けましょう。
<まとめ>
股関節に水が溜まるのは、関節が炎症を起こしているサインでもあります。無理をせず、適切な施術や運動療法などのケアを続けていくことが、症状の改善につながります。
もし気になる症状があれば、早めにご相談ください。