変形性股関節症に良い筋トレ

股関節を安定させる筋肉のひとつで重要なのが「中殿筋」です。

股関節の痛みの因子として大きいのが、股関節の不安定性です。この筋肉が正しく働くことによって、大腿骨頭を寛骨に押し付けて股関節を安定させます。

筋力が弱くなっているからといって、むやみに筋トレをすると、かえって痛みの原因になってしまいます。大切なのは、筋力増強ではなく、働けていない筋肉を正しく働けるようにしてあげる(筋肉の活性化)です。

当院では、筋肉の活性化(アクティベーション)を目的に筋トレを行っています。

今回は、股関節の痛みが取れやすく、変形性股関節症に負担がない方法をご紹介します。

この方法は、世界変形性関節症会議で入賞したエビデンスのある運動療法です。(エビデンスとは科学的根拠のこと)

横上げ体操

変形性股関節症の筋トレ

<方法>

  1. クッションなどの上に足をのせ、足が床と平行の高さになるようにします。
  2. その状態で、つま先を自分の方へ向けるように足首を曲げます。
  3. 以上の姿勢で15秒間維持します。
  4. 5秒間くらいのインターバルを開けて、これを4~20回繰り返します。

股関節を外転させないで中殿筋を収縮させることがポイントです。
必ずクッションなどに足をのせて行ってください。

足の横上げ体操が終わったら、下のイラストのように、太ももの前の筋肉(大腿四頭筋)とスネの前の筋肉(前脛骨筋)をストレッチしておきます。 ↓

大腿四頭筋ストレッチ

一般的には、下のイラストのような筋トレが行われています。
しかし、このような股関節外転運動による筋トレは、股関節への負荷が大きくなり痛みが出やすいので避けた方がよいでしょう。 ↓

使っている筋肉の解説

股関節を安定させる中殿筋後部線維

股関節を安定させる中殿筋後部線維

中殿筋後部線維と小殿筋は、大腿骨頭頸部とほぼ平行に走行しているので、この筋が上手く収縮すると骨頭を寛骨に押し付けて股関節が安定する。

角度の変化にようる中殿筋の作用

カパンジーによると股関節の外転角度が35度以上になると骨頭を寛骨に押し付ける力はなくなり、逆に引っ張る力に変わってしまいます。

※ ストレッチや運動療法で効果を出すには、それなりのコツが必要です。
写真やイラストを見ても上手く出来ない方や、
今、痛みでお悩みの方はお気軽にご相談ください。