変形性股関節症と骨嚢胞について
病院のX線検査などで、「骨に穴が開いている」と言われた方へ。
変形性股関節症が進行すると、X線画像やMRIで『骨嚢胞(こつのうほう)』と呼ばれるものが見つかることがあります。これは俗に『骨に穴が開く』と言われるもので、骨の中にできる小さな空洞です。これは関節の負担が増えた結果として発生します。
そもそも変形性股関節症とは、股関節のクッションの役割を果たしている軟骨がすり減ってしまい、その下の骨に直接負担がかかる病気です。軟骨が薄くなると、骨同士がぶつかり合い、骨に小さなヒビが入ることがあります。そこに関節液がしみ込むことで、骨の中に小さな袋のような空洞ができ、それが「骨嚢胞」です。(但し、骨嚢胞が出来る仕組みについては所説あり断定できる原因は分かっていません。)
この骨嚢胞自体は必ずしも痛みの原因になるわけではありませんが、大きくなると骨の強度が低下し、股関節の変形が進む要因になることがあります。
股関節症の骨嚢胞と圧壊について
骨嚢胞ができると、その部分の骨の密度が低くなり、もろくなると言われています。特に股関節は体重を支える重要な部分なので、歩いたり、立ち上がったりするたびに負担がかかります。骨がもろくなった状態が続くと、あるとき耐えられなくなり、骨の一部が沈み込むように変形してしまうことがあるのです。これが「圧壊(あっかい)」と呼ばれる現象です。
病院では、骨嚢胞を圧壊させないために、早めの手術や再生医療を勧められたり、骨粗しょう症の薬を処方されたりすることがあり、不安を抱く患者さんも多いと思います。
実は、この圧壊は大腿骨骨頭壊死症の場合に起こりやすいですが、骨嚢胞が原因で潰れるケースは極めてまれだという説が有力です。
私は施術家として30年以上この仕事をしていますが、いまだに「骨嚢胞が潰れてしまった」と言う人にお会いしたことがありません。
逆に、正しい股関節ケアを続けることで、「骨嚢胞が小さくなる」ケースを数多く経験しております。。
実際、骨嚢胞があると骨は圧壊(潰れる)されやすくなるのだろうか。
骨嚢胞は骨を守る役割があると報告されています。
変股症骨嚢包の発生および存在に対する生体力学的解析『臨床整形外科 18巻13号 (1983年12月発行)』によると、その結論は、
形成された嚢胞には生体力学的に変形骨頭を強化する作用があることが示された。
(~中略~)
形成された嚢胞は結果として骨頭の知己学的強度を増し、生体防御反応の一つであることが示唆された。
つまり、骨嚢胞があることによって骨にかかる力が分散され、骨の強さを保つ働きがあるということです。
正しい知識を持つことで、不安を減らし、前向きに股関節ケアに取り組みましょう。
<まとめ>
- 股関節に出来た骨嚢胞が原因で骨が潰れることはごくまれ。
- それどころか、骨嚢胞は骨にかかる圧力を分散して強くする働きがある。
- 適切な保存療法で痛みのケアを続けていると骨嚢胞は小さくなってくる。